近年、子どもの筆圧が低下していると言われています。
とはいえ、筆圧は強すぎるのも問題のようです。
子どもの筆圧は、様々な面で影響があります。
子どもの適正な筆圧とは?
また、それが大切だと考えられる理由はどういったものなのでしょうか。
みていきましょう。
目次
小学校で鉛筆を使い、濃さ(硬さ)を指定される理由
小学校で毎日使う「鉛筆」は、1年間でだいたい1〜3ダースくらい使う必需品です。
鉛筆の指定については学校によって違うとは思いますが、小学校入学時に一斉購入するものの中に含まれていたり、入学説明会で1年生が使うのに望ましい濃さを指定されると思います。
小学校入学時に推奨される鉛筆の濃さは「2B」の学校が多いのではないかと思いますが「2BまたはB」、「2Bまたは4B」と、範囲で指定されている学校もあるようです。
このように、学校によって多少の違いはありますが、主流は「2B」です。
これは、入学時の年齢6、7歳の子どもの筆圧を考慮していることは間違いありません。
そして、学年が上がるにつれて、指定される鉛筆の濃さ(硬さ)は変わっていくはずです。
これも学校によって様々で、下記の指導が多いのではないかと思います。
- 入学時に指定された「2BまたはB」が6年間そのままの学校
- 1、2年生は「2B」、3、4年生は「B」、5、6年生は「HB」
- 3年生までは「2B」、4年生から「B」
共通して言えることは、学年が上がるにつれて徐々に硬めの鉛筆を使うようになるということですね。
学年が上がるにつれ指定されなくなり、5年生くらいからシャープペンシルを使うことを許可する学校もあるようですが、一般的には、小学校ではシャーペンは絶対禁止にしている所が多いのではないでしょうか。
鉛筆は、シャーペンに比べて芯がしっかりしており、筆圧のコントロールがまだうまく出来ない子どもでも安定して書くことが出来ます。
筆圧がしっかりとしてくると、「4B」や「2B」といった柔らかくて濃い鉛筆だと、芯があっという間に短くなり、ノートに書いた字が擦れてノートが黒っぽくなったりもします。
それを、一段階硬い鉛筆ヘの替え時と考えることもできます。
侮ってはいけない「筆圧」なぜ筆圧が大切なのか
いっけん、子どもの成長には関係ないのではと思いそうですが、筆圧は子どもの成長と関係しています。
以前、「手指の訓練開始は早いほど、脳の関連部位の大きさに影響を与えることが分かっている」と書いたことがありますが、鉛筆を使って文字を書くことも手指の運動です。
手指の力と脳の前頭葉の発達とは深い相関性を持っており、指の力が弱いと、物事を総合的に判断する能力の発達が遅れていると考えられているのです。
子どもの筆圧が弱くなってきた理由
近年、子どもの筆圧が弱くなっていることが懸念されています。
昔は、小学生が使用する鉛筆はHB(2Bより薄く硬い)だったそうです。(ただ、90年代前半に小学校に入学した筆者は、入学時の鉛筆は2Bだったと記憶していますが・・・)
弱くなってきた理由としては、以下のような環境が考えられます。
- 普段からゲームやスマホに慣れており、指に力を入れる経験が圧倒的に少ない。
- 服のボタンの留め外しやビンのフタを開けるなど、日常的に出来るはずの動きをやっていない。(親がやってあげる)
- 砂遊び、粘土遊び、うんていやジャングルジムなど、手を使う遊びをしていない。
このように、子どもを取り巻く環境の変化などにより、子どもが指を使う機会が圧倒的に減っていることが考えられます。
筆圧が強すぎるのも問題
しかし、筆圧が強すぎるのもまた、さまざまな弊害があります。
東大に子ども4人を合格させた佐藤亮子さんの著書「受験は母親が9割」の中に、このようなエピソードがあります。
三男の灘中受験の前、「とにかく過去問だ!」と決めて、大量の問題を解かせて、私がマルつけをする作業と格闘していた時、ふと気がついたことがありました。
三男の筆圧が強すぎるのです。
長男と次男のノートと比べても明らかに強い。
太くて濃い字ですから、消しゴムで消してもきちんと消えていません。
その上から新たに字を書いても、頭の中がすっきりしていないので、うっすらと残った字に惑わされて間違ってしまっていました。
計算が遅い理由もここにあるようでした。
弱点はこれだと、気づきました。
灘中の算数の問題は難しく、量もしっかり出ますから、速さは本当に重要です。
(中略)
筆圧も適度になった頃には、ずいぶん計算間違いも減って、「灘中は通るな」とホッとすることができました。
たかが筆圧、たかが持ち方、とそのままにしておかないで、細かいことを見逃さないことが大切だなとしみじみ思った出来事でした。
また、当事者である佐藤家の三男さんも、このように振り返っています。
筆圧については、僕はとても強かったので母に指摘されたことは覚えています。
直してみたら、頭の中で考えていることをスラスラとメモできるようになり、集中力が増しました。
それまでは、考えることよりも書くことに集中してしまっていたので、計算などとても時間がかかってしまっていたのが改善されました。
佐藤さんのこのエピソードから分かるように、筆圧が強すぎるのは、強く書きすぎることによって、書くスピード、計算のスピードが劣る、それによって集中力も劣る、また消しゴムで消えないなどの問題があることがわかります。
ただ、弱いものを強くするには訓練が必要ですが、強すぎるものは心がけで調整できるので、弱すぎるほうが問題なのは確かです。
適正な筆圧のため 幼児期にはどのようなことをすればよいか
では、弱すぎず強すぎず、指を上手に使えるようになるために、幼児期にはどのような活動をしていけばよいのでしょうか?
指を使って遊ぶ機会を増やし、歩けるような月齢になったら、体全体を使ってバランスよく遊ぶことが大切です。
指を使った遊びは、これまでの記事でもたくさん紹介しています。
指の力を鍛えることができる習い事もあります。
まとめ
筆圧の弱い、強いとは? 子どもの筆圧には注意が必要
いかがでしたか?
- 筆圧は弱すぎても強すぎてもよくないが、弱すぎる方が改善に時間がかかる
- ゲームやスマホなど指の力が必要ない遊びを減らし、ボタンの留め外しなど日常的にできることを自分でやらせる
子どもの筆圧に注意するとは言っても、決して難しいことではありません。
本来、日常的に指を使う作業はたくさんあるのです。
それらを親がやってあげるのではなく、子どもに自分でやらせること、そして、指だけではなく体全体をバランスよく使って遊ぶことが大切ですね。
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