ホームスクーリングという家庭教育を選択する理由として「宗教」をあげる人が一定数います。
アメリカでホームスクーリング家庭が多いのも、特定の宗教を信じている家庭が多いことが理由のひとつだと考えられます。
宗教をもつ親は、自分たちが信仰する宗教が子どもの教育にとって、有益であると信じています。
そういった理由で、私立のクリスチャンなどの学校に通わせる親もいますが、もっと踏み込んだものがホームスクーリングであるとも考えられます。
もちろん、ホームスクーリングのすべてに宗教が関係しているわけではありません。
現にこの記事を書いているわたしは、実は、宗教がホームスクーリングを選択する理由になる人がいるということを知って、この記事を書いています。
「宗教」のためにホームスクーリングを選択する理由
キリスト教系の熱心な信者のなかには、特に、子どもには聖書に基づいた教育を行いたいという理由からホームスクーリングを選択する人が多いようです。
ホームスクーリングで10人の子どもを育てるハーディング家のお母さんも、
「わたしたちは、キリスト教の世界観と天地創造を信じている。」
とはっきりと書かれています。
▼ハーディング家についてはこちら
学校教育によって、子どもが誤った価値観や親とは違う信仰心などを身につけるのが嫌だというようなニュアンスのことも著書に書かれています。
「進化論」と「創造論」
敬虔なクリスチャンがもっとも受け入れがたい学校教育に生物学があります。
たとえば、現在の学校では私立であっても、理科でダーウィンが唱えた「進化論」を教えます。
生物は原始的なものから進化を遂げて現在のようになった、という説です。
キリスト教のある宗派では「創造論」を主張しています。
旧約聖書の「創世記 第一章」に、神が天地万物を創造したことが記されています。
「神は初めから今のような生物をお作りになった。
神が作られたものがさらなる進化をするとは考えられない。」
という考え方のようです。
そういった説を、ひとつの説ではなく正解だと考えているひとにとっては「進化論」は受け入れがたい説(彼らにとっては”嘘”)です。
そのような仮説を事実であるかのように教える既存の学校は、受け入れがたいわけです。
そうなると、学校に「そんなことは教えないでくれ」とは言えませんから、ホームスクーリングを選択するしかありません。
インテリジェント・デザイン(世界は、”知性ある設計者”によって創造されたという説)を裏付ける根拠もあると信じている。
国が一元的な理論だけを学ばせようとすれば、意見の多様性や成長の機会を子供から奪ってしまう。
ーー「学校に通わず12歳までに6人が大学に入ってハーディング家の子育て」より
宗教をもとにしたハーディング家のホームスクーリング
上記のように、ハーディング家のお母さんは、信仰する宗教の教えが絶対というわけではなく「意見の多様性がある」と考えています。
それでも、ハーディング家にとっては、信仰するキリスト教は教育の基本のようです。
毎日、朝食のあとかたずけが終わると、全員で聖書の勉強を始めるそうです。
小さな子どもたちには母親が読み聞かせ、大きな子は自分で読みます。
さらに、夕刻にはお父さんが取り仕切り、家族で祈祷の時間を持つそうです。
「聖書の言葉を学んで祈ることは、生きていく上での指針になる。」と書かれています。
そして、ホームスクーリングで育った長女のハンナさんでさえ、エレミア書の言葉を引用し、
「わたしたちの人生のために髪が導き出してくださる計画は、わたし自身が予測するものよりも、そして両親が示してくれるよりも、はるかに善いものだと確信している」
と書かれています。
このほかにも、「神」という言葉や聖書の言葉をあらゆる章で引用しています。
宗教以外のホームスクーリングを選択する理由
この記事を書いているわたしは、無宗教です。
宗教の必要性も感じていないし、日本の公教育における道徳教育などのバランスの良さ(むやみに”神”などを登場させないあたり)は素晴らしいと思います。
ホームスクーリングという方法は、善悪、良し悪しではなく、そういった教育方法を必要とする子が一定数いて、そういった子が学校教育によって潰されないために、認定されてほしいと願っています。
日本は宗教にトラウマを抱えている国でもあるので、宗教を理由にホームスクーリングをしている人がいるというだけで、ホームスクーリング=宗教だと考え、偏っているとかまともな社会性が身につかないとイメージをつけられるのはまた、残念なことです。
では、宗教上の理由以外に、ホームスクーリングを選択する理由としてどんなものがあるでしょうか。
- 学校の環境や学習の質、カリキュラムに対する不信感や不満
- 通える範囲にわが子に適した学校がない
- いじめ問題
- 障害、深刻なアレルギーなど特別支援の必要
- 先天的に高い知的能力を有するギフテッド
- オリンピックを目指すようなスポーツ活動、芸能活動
- 親が、 わが子の学習と発達に深く興味を持ち、自らの手で子どもの教育をしたい
このように、選択する理由は家庭により様々です。
例えば、ギフテッドではなくても、とても優秀な子どもが通常のクラスに在籍する場合、他の生徒の進度に合わせて授業が進むと、簡単すぎてつまらないと感じてしまうでしょう。
ホームスクーリングを選択すると、学年のレベルに関係なく自分に合ったカリキュラムで効率よく、興味ある科目や内容に焦点を当ててより深く学ぶことができます。
教育熱心な家庭は、これを理由にホームスクーリングを選択する傾向にあります。
また、学校に通わない分、音楽やスポーツなどその子が持つ才能を伸ばすために時間を使うこともできますね。
いじめ問題などは、「学校が合わなければホームスクーリングという方法がある」と親と子の両方が知っているだけで、少なくとも自殺という最悪な事態は防げるわけです。
まとめ
宗教だけではないホームスクーリングを選択する理由
いかがでしたか。
- 「宗教」や特定の信仰心のためにホームスクーリングを選択する家庭もある
- しかし、ホームスクーリング選択の理由は、家庭により様々
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