前回、子どもの生得的気質(内向型/外向型)のチェックリストを載せました。
そして、
生物学的な特質からみても、内向型の子どもはデリケートな側面があり、内向型の子どもにとりわけ注意深さが必要だ
ということを書きました。
そこで今日は、
内向型の子どもが上手にエネルギーを補給し、社会に適応するための方法
についてみていきます。
目次
プライベートな時間を与える
日々のスケジュールの中に、プライベートな時間があることが理想的です。
内向型の子は、プライベートな時間には、さほどエネルギーを消費せずにすみます。
プライベートな時間というのは、ひとりきりか、その子にとって気楽な2、3人だけになること、または、集団を離れることで生み出されます。
パーティーなど刺激の強い活動の合間に休憩が必要
また、内向型の子どもは刺激の強い活動の合間には、休憩をとらなくてはなりません。
もし、あなたの子どもが内向型で、集団生活の中で不機嫌になるようなことがあれば、中休みを必要としている合図だと思われます。
そして、内向型の子どもの多くは「いつどのように休憩をとるべきか」人に教わる必要があります。
彼らは、自分に休憩が必要であることを知らなかったり、休憩をとることに不慣れだったり、集団を離れる(目立つ行動をとる)のを嫌がったりします。
だからこそ、親が我が子を知ることはとても重要なのです。
親は、我が子がぼんやりとしていないか、不機嫌になっていないか、殻にこもっていないか、気づくだけの敏感さが求められます。
何かの集まりで、我が子が茫然としているのに気づいたら、少し声かけを行う必要があります。
厄介なことに、機嫌が悪いときなどは、休憩するように言われれば、逆に不満を表すことが多いです。
「ここはすごくうるさいし、人が大勢いるから、ちょっと外を散歩してこようよ。」
とか、
「デザートを出すのを手伝ってくれない?」
と手伝いをお願いするふりをして、その場を離れさせるなど、工夫が必要です。
5分もすれば元気になって戻ってこられるし、そのあとは前以上に友達との時間が楽しくなります。
ただし、子どもが遊びに戻っていくのにもまた助けが必要になります。
内向型の子どもたちのほとんどは、しばらく様子を見てからでなければ、活動に入っていけません。
研究によれば、集団に加わる最良の方法は、その中のひとりと目を合わせ、その人にほほえみかけて、周囲の注意を引かないように遊びの流れに入っていき、その後、適切な質問をすることだといいます。
内向型の子ども自身にもその必要性を気づかせる
子どもがある程度大きくなったら、そういった傾向に、子ども自身が気づくようにしてあげる必要があります。
「お友達と一緒のとき、すごく元気な子がいるよね。
そういう子は一日じゅう遊んでいても、全然疲れないんだよ。
でも、お友達と遊ぶのは好きだけど、途中でちょっと休憩しないといけない子もいる。
あなたはそういう子よ。
ひと息入れて、体にエネルギーを与え、何度か深呼吸する必要があるの。
そうしないと、バテちゃったり、機嫌が悪くなったりするのよ。」
などと、話してもいいし、
子ども自身に、休憩の必要性に気づいたことはないか尋ねてみるのもよいでしょう。
そのときに大切なのは、答える時間をきちんと与えることです。
プライベートなスペースを与える
内向型の子どもには、自分の体と外界とを隔てる物理的スペースが必要です。
これにはいくつか理由があります。
- 彼らには、自分の考えたことや感じたことを処理するために、内へ注意を向ける必要があり、そのためには外からの刺激を遮断しなければならない。
- 周囲に人がいて動きがあるというだけで、内向型のバッテリーは消耗してしまう。
- 内向型は、外界を遮断しないと新たなエネルギーを生み出せない。
「スペース」というのは、距離も含まれる
子どもがみんなそうであるように、内向型の子どもも、親に抱きしめてもらうなど、身体的な触れ合いを求めます。
しかし、刺激過剰になっているときは距離を置きたがるかもしれません。
例えば、車に乗っているとき「脚がぶつかってるよ」など、些細な不平を言う子どもがいます。
また、集団のなかでは、中心よりも周辺部にいたがることが多く、座るときは、人とソファを共有するより独立した椅子を好む傾向があります。
彼らが寄り添いたがるときは触れ合いを楽しみ、外からの刺激を減らしたがっているときはそれを受け入れなければなりません。
以下のような傾向もあります。
- 何のやりとりもなくても、ただ人がまわりにいるだけで、エネルギーを奪われてしまう
- 近くに立たれたり座られたり、予告なしに部屋に入ってこられたりすると、それだけでエネルギーを吸い取られてしまう
内向型の子のプライベートスペースに関する対処法
スペースの問題について、子どもと話してみましょう。
「あなたはまわりが人でいっぱいだと、落ち着かなくなったり、疲れたりするのよね。」
など、最も大事なのは、彼らの居心地悪さへの理解を言葉で示すことです。
ほかにはこんな対処法があります。
- 長いドライブのときは、プライベートなスペースについて子どもと話をしたり、定期的に車を降りて外を歩いたり、席を替わったりする
- 息苦しくなってきたら深呼吸して緊張を解くよう、子どもにすすめる
- ヘッドホンを渡してお話や音楽を聞かせたり、ひとりで遊べるようシールの本を与えたり、なぞなぞなどのゲームをするなど、子どもの注意をよそへそらしてあげる
ゆっくり考える時間を与えること
内向型の子どもには、何かすることを強要されずに、ゆっくり考える時間が必要です。
熟考の時間を求めるため、怠け者扱いされることがよくありますが、エネルギーを蓄えるためだけではなく、じっくり考えるために時間を使っているのです。
内向型の人が、考えるときに自由な時間が必要な理由
内向型の人は、外界から、意識的にも無意識的にも情報を吸収しています。
↓
外からの刺激を抑えることができなければ、彼らの内なる思考、感情、感想は、決して表に出てこない。
↓
処理時間がなければ、彼らの精神は停滞し、満杯になってしまう。
↓
すると、内向型の人の多くは、脳が空っぽになった気分を味わう。
↓
ところが実は、脳のなかには多くがつまっていて、それが整理され、より分けられていないだけ。
内向型の子が上手にエネルギーを補給し、社会に適応するため
プライベートな時間やスペース、そして、十分に考える時間が必要なのも、外向型には理解できないことです。
外向型の人は、解決のために話をするのが好きなので、 心を明かさない 内向型の人にいらだつこともあります。
もしあなたの子どもが内向型であっても、これから学校に通ったり、社会に出ていくために、親がいつまでも助けてあげられるわけではありませんよね。
子どもを指導する専門家である学校の先生でさえ、人によって使っている脳の経路が異なることや、その経路の長さが子どもの反応の速さを決定づけることを知らないかもしれません。
あなたの子どもに熟考が必要なことを説明するのもいいかもしれませんが、
「まだ考え中です」
「答える前にゆっくり考えさせて」
あなたの子どもが、家族以外の人にもこう言えるようにしてあげましょう。
そして何より、物事をじっくり考えるのは大切なことだし、すばらしい長所です。
そのことを、内向型の子に気づかせてあげましょう。
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